20 - サイボーグ
“とったりつけたり”
腕が無ければ、付ければいい。
足が無ければ、付ければいい。
手足だけじゃない、内臓だろうが何だろうが体のパーツなら何だって交換出来る。但し大抵は規定の年齢にならなければ許可が下りないし、人権を主張する為に脳味噌だけは最低でも25%は残しておかなきゃいけないけれど。
元々、僕の故郷では体の一部が足りなかったり多かったりする状態で生まれて来る人が殆どだった。だからそれを補う為の技術を発展させて来た。今じゃそうしてない者の方が少ないだろう。
「でも、あなたはその少数派の方なんだよね?」
ああ、そうだよ。
「何故そのままにしてるの?」
付けたり外したりするのが自由なら、そうしないのも自由だろ?
「不便じゃないの?」
足が無いのは車椅子が代わりをしてくれるからそれで十分。……ああ、そういう意味ではこれも取ったり付けたりしてる事になるのかな。
「だったら、背中の方の腕をそのまま生やしたままにするんじゃなくて、別の形にしたっていいんじゃない?」
そうする人も居るみたいだね。
「変えないの?」
変えさせたいの?
「だって、その方がいいじゃない。見た目も気分も」
それは君の言い分であって僕の意見じゃない。
確かに、背中の腕が背もたれの邪魔になるよ。だけどそれもひっくるめた全てがこの僕を構成している要素だからね、外す気も付け替える気も無いよ。少なくとも、今は。
「……ヘンなヤツ」
どういたしまして。
end
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只今挑戦中/あとがき?
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