“Entrance of Paranoia”



 ……Entrance of Paranoia……

 明け方に、悪夢を見た。
 それは封印された左手が闇色に変色し、腐食するというものだった。闇は徐々に広がり、腐食した所から徐々に身体が朽ちていく。俺はどうする事も出来ず、ただその様子を眺めていた。
 隣では背中に白い翼を生やした男にも女にも見える妙な奴が、歌を吟じている。それはまるで俺達の事を揶揄している様に聞こえ、酷く不愉快になった。


 俺達の? 不愉快になった?


 酷い違和感を感じながら目を覚ますと、また歌声が聞こえて来た。あいつかと思い隣のベッドに目をやるとそこはもぬけの殻で、代わりに窓辺で明けていく街を見ながら歌う姿があった。
 それは、夢で聞いたあの歌だった。


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