015.もしも


“the Destroyer”

「僕はこれを、君に託そうと思う」
「何であたしがそんなモノを受け継がなきゃならないのよ」

 …………

「エレンが、行方不明?」
「……お姉ちゃんにあやまろうと思って──手紙を書いたんだけど、そしたら母さんから、“一緒にいるんじゃなかったの?”って──」


「生憎、俺も知らないんだ。確かに声は掛けたがな、あいつは“シノンに帰る”って言って聞かなかったんだ。こっちだって攫って行くほど拘っていた訳じゃない、仕方が無いからそのまま別れた」


「女──女だ! べらぼうに強くて、あいつが手をひと振りしただけでみんな殺られた──俺だけ見せしめだっつって見逃されて……っ」
「顔は? 見たんだろう?」
「知らねえよ! 恐くて思い出せる訳ねえッ──今だってあの鋭い目で見られてる気がして恐ぇえんだよ!」


「その“身体”の調子はどう?」
「正直、全然魔力が無いみたいだね。ついでに言うと大して鍛えられても無い。しばらく訓練に付き合ってもらえると有難いんだけど」
「それぐらいなら構わないわよ。実際、どう見ても強そうじゃないモンね、“そいつ”」
「まあ見てなよ。いずれ君のお眼鏡に叶う様な“奴”にしてあげるよ」
「悪いけど、マッチョが好みって訳じゃないから」


「霊廟の封印ですか? それなら、先日いらした女の方が試練に挑戦すると言うので解除したんですよ」
「では、指輪は?」
「その方にお渡ししました。実は試練を終えた後に返しに来られたのですが、私の方からその方に持っていて下さるようお願いしましたので」


「待ってっ、その盾は……っ!」
「悪いけど渡さない──“これ”が何なのか分かってるんなら、尚更ね」
「君達も術士なら分かってるだろう? 今何が起ころうとしてるのか、さ。分からないんならここで死んだ方がいい」


「“女”は間違いなく遺物を追っている。目的は分からんがそれだけは間違いない。その内ここにも来るかも知れねえ、守りを固めておけ」


「なんて言ったらいいんだ──瓦礫と、それと人間だけじゃない、山ほどのモンスターの死体の山の中心に彼女は立っていた。すぐ傍に男の姿もあったけど、まるで影みたいで不気味だった。だけどやっぱり一番恐ろしいのは“彼女”の方だ。……オレはあれが“誰”なのか知っていたのに──分かっていたのに、それでも、あの“目”がこっちを向いた途端、オレは恐くて立っていられなかったんだ……っ!」


「──が……ッ!」
「感謝してよね、これでも手加減してあげたんだから」
「どうして──お姉ちゃん、どうしたら許してくれるの?」
「許す? あんたがあたしに何をしたって言うの?」


“宿命の子よ、いざ、ゲートを開け”
「一瞬だけでいいわ、そのスキにあたしらが向こうへ行く」
「まあ別に、どうしても付いて来るって言うなら構わないけどね。その代わりこっちも面倒は見られないけど」
「……処であんた、“身体”は?」
「置いてきた。この先へ進む以上、器に入ったままだと君を守れない」
「身体が無いからって間を省略しないでちゃんと言いなさい」

 …………

「君は真っ当な死に方を出来なくなるかもしれない。もしかすると昔の“僕”がそうだった様に、君も別の二つ名で呼ばれる様になるかもしれない。もしこの戦いの後生きている事が出来たとしても、道行く人から石を投げられる様な人生しか送れないかもしれない」
「そんなの、全部覚悟の上よ」


...they called "DESTROYER".
end
よんだよ


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 只今挑戦中あとがき?

 Romancing SaGa3

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