032.魂の在り処
“nearly equal, not equal”
0.prolog ─軌道エレベーター<地球>側出口にて─
本の仕入れの為、久々に<地球>《アース》へ降り立ったレドリックは、<遠来>《ファーレン》と比べて明らかに空気がマズイ事に対して妙に感動していた。
──やっぱ<地球>はこのコキタナサが重要だよな!
環境保護活動家が耳にしたら雷を落とされるだけではすまないだろう事を考えながらエントランスホールを歩いていると、あるものが目に留まった。夏季オリンピックの宣伝ポスターだ。
──あー、そーいや今年だったっけなー。
今や14もの行政区と3ヶ所の特別区に分割されている<地球>だが、こういったスポーツに関しては、未だに昔の政治的単位である“国”を元とした“エリア”が使われる。予選では行政区単位に割り当てられた出場枠を、エリア毎に争うのだ。但し開催地に関しては、レドリックが生まれるより前から行政区単位の持ち回り式になっており、今回は南米行政区が担当する事になっていた。
だがこの時レドリックが思い出していたのは、射撃のダブルトラップでその出場を確実視されていながら、事故に遭ってそれが叶わなかった人物の事だった。
←32/32 - 1→
只今挑戦中/original
top/main menu/about/challenge/link/mail