“1/100〜ある1組の魔物と人間の話〜”



 それからあの2人がどうなったのか、俺は知らない。
 用も無いのに病院へ行くのは気が引けたが、1度だけ受付までミューの事を聞きに言った。しかしそこで分かったのは、終末医療を扱う別の病院へ転院したと言う事だけだった。
 良くも悪くも、俺はまだ身近な人間の死に立ち会った事がない。だから死んで行く方と残される方と、その苦しみや悲しみは想像する事しか出来ない。
 もしかすると、魔物との別れはそれに近いかもしれない。王を決めるためにその候補をわざわざ人間界へ送り込むぐらいだから、魔界にはこの人間界へ行く手段があるかもしれないがその逆は分からない。本が燃えた時も魔物自身が強制送還されるだけで、持ち主になった人間まで巻き込まれる事がないからだ。
 だから、代わりに想像する。もしガッシュがいなくなったら、俺はどうするんだろう、と。
 ほぼ間違い無く、確実に別れの時は来るだろう。負ければ当然だが、最後まで勝ち残ってガッシュを王にする事が出来たとしても、やはり魔界へ帰る訳だから多分もう会えなくなる。あまり想像したくはなかったが、それは恐らく避けられないだろう。
 それでも、互いに生きているのが分かっているだけマシかもしれない。生きる世界が違うだけなら可能性は0じゃないハズだ。だが死んでしまったら、もう2度と会えないのだから。……それがただの現実逃避だったとしても。
 いつかは俺も、ミューのような最後の覚悟を決める時が来るのかもしれない。
end
よんだよ


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